安田純平さん解放から熟考したこと

これはいち旅人として、私のただの独り言です。

海外から帰国後、日本の政治については疎いし、テレビを見てもうんざりするだけだからワイドショーなど見てなかった。だけど、安田さんの拘束については、旅中、ひと時も目が離せなかった。いつもは見ないくだらないワイドショーもニュースもネットニュースもヤフーのコメントもツイッターでも事細かく検索し、”状況”を知ろうと情報をかき集めていた。

まず、私は安田さんが解放されて素直によかった!と思った。2013年の後藤さんや湯川さんのようにならなくて、本当によかった、拘束は辛い時間の連続だったかもしれないけど、家族の元に帰れておめでとう、と。そしてシリアで拘束された状況を知りたいと心の底から思った。

第二に会見を見たあと、その人となりの誠実さ、何が起こったのかを正確に皆に伝えようとする姿に強さを感じた。帰国後、数日しか経っていない中、長い時間よく感情を支え続けていられるなあ、さすが男性だ、ジャーナリストだ、と。私が彼の立場だったら泣き喚いていただろう。

そもそも会見を見れば、それがどんなに弁護士に企画されたものでも、その人の伝えたい意思は届く。芸能人の不倫やアイドルの懺悔や政治家の囲み取材だって、たぬきを見破ることができる。あの日大の学生と指導者のように。

マスコミやニュースはただのネット民のたわごとを「世間は、社会は」などと、いかにも日本人全体がその意見を持っているかのように操作し、特に11月5日のバイキングは凄まじく酷いものだった。

そもそもネットで情報を得られるようになった今日でも、私たちは、病気のことが分からないから医者に聞きに行く。大学では専攻で疑問が浮かべば、教授に会いに行く。どの分野にも専門家がいて、専門性を本などで発表している。

では、なぜ彼ほどシリアやイラクに精通し、アラビア語も話せるプロのジャーナリストに、ただの一般庶民がバッシングをするのだろう。ネットやテレビでも政治家が、タレントが、芸人が、キャスターが、さも分かった顔で発言するのだろう?そもそも中東にすら足を踏み入れたことすらないんじゃないか。プロのジャーナリストのみに発言権があると私は思っている。

税金を使った?外務省に迷惑をかけた?カタールに借りを作った?日本国内にいて、バッシングする人たちに直接的に”被害”となるのは税金だけだろうと推測するが、それもカタール自体が否定している。

ともなれば、私が思うのは、日本人特有の軍国主義的発想であり、自分たちが毎日会社に通い日本経済に尽くしているのに、己の独りよがりでシリアに行った安田さんはけしからん、悪いものは悪いんじゃー!かっこ私は祖国に対しそんなこと絶対にしませんからかっこ閉じる。

安田さんは2回目の会見でも、自分自身が知りたいだけ、というような発言を述べていた。民主主義において、いや自由発想が許される現代に、いち個人が自分の使命を持ち、やりたいことをやろうとすることがいけないことなのか。政府に対して暴言を吐いただの、外務省を動かしただの、そんな感情論で動くから戦争にこてんぱんに負けたのではないか。

というか、共産主義中国のようになりたいのかなあ、試しに一年くらい住んでみてはと言いたい。政府がキレイにコントロールしてくれますよ。イランやキューバもいいかもね。

ちなみに、私はいち旅人で今まで世界の80パーセントを旅したが、日本の外務省の安全情報は信用していない。またアメリカの安全情報にしてもしかり。特にアメリカに関しては大雑把すぎて目も当てられない。

ではどこのソースを使うのかと言うと、かの大航海時代を築いたイギリスの安全情報である。都市によって細かく分れていたり、国によっては地域で細分化されており、また更新頻度も高く非常に信頼におけるものとして長年ウオッチしてきた。

例えば、イラクが良い例でアメリカはLevel 4でDo Not Travel。日本はクルディスタンを除き退避勧告、イギリスはクルディスタンプラスバグダッド周辺がAdvise against all but essential travelになっており、これを見たとき、えええとなったものだ。当然、シリアはどの国も”真っ赤っか”で退避勧告が出ているが、個人がシリアにどうしても行きたい、行かなければならない時に、政府はこれを止める権利はあるのか。

そして不思議なのは、日本の渡航情報で北朝鮮は「目的のいかんを問わず,北朝鮮への渡航は自粛してください。」となっている。先月、久しぶりに行われたマスゲームで日本人観光客が65人いたと報道されていた。この人たちをバッシングしないのか。そもそもこの要請は「我が国独自の対北朝鮮措置」らしいが。

実際、アフガニスタン北部は条件付きでツアーが開催されており、ロシア、中国、韓国、日本以外の国民は旅ができる。ヨーロッパ人はもちろんのこと、あのアメリカ人だって旅できる。上記の国が旅できないのは、「自国の政府がそう決めている」からである、現地の実情は別として。

そして言わずもがな、日本政府が国外で邦人保護をするのは当然の責務である。本人の意思や行動とは関係ない。パスポートは無料配布している訳ではないからだ。

私は今回の件で、実家の親に電話して私が安田さんだったらどうするか?と聞いたみた。すると想像以上に強い言葉が返ってきてぶったまげた。

「人になんと言われようと関係ない。その人たちは失敗しても何をしても責任を取ってくれない。自分の思った道を行け」。

私がこの人から産まれてきて本当によかったと思った瞬間だった。そして私は続けた。全国民になんと言われようとワイドショーが押しかけて来ようと謝らないでよ、と。娘も娘だ、自分で言うのもナンだけど。

そうやって熟考すると、安田さんは3年半も助けられなかった日本政府に謝罪と感謝を述べ、説明責任を果たすため会見を開いた。立派としか言いようがない。まだまだ若いのだし、これからも紛争地で取材を続けて現地のニュースを日本人目線で報道していただきたい。こういう人がいなくなれば、日本は古い体制や過ちを引きづり、文化だけでなく新時代にも取り残されていくだろう。

そしてなにより一日も早くシリアに平和が訪れることを切に願う。

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